ウチの祖父は寺の住職になる前、戦争に行っていました。
フィリピンとか…アジアの島に派遣されていた時に…祖父は激しい腹痛に襲われ、部隊のみんなに置いてけぼりにされたそうです。
すると、部隊の皆様は行った先で全滅。
腹痛で遅れをとった祖父だけが生き残りました。
祖父の実家には「○○部隊×××で全滅。息子さんは戦死しました」的な知らせが届いていたそうです。
なので終戦後、命辛々帰還した祖父は、実家に着くと「幽霊!?」みたいに、かなり驚かれたそうです。
戦死の知らせが届いていたのに本人が登場したのですから、さぞ驚かれた事でしょう。
…でも、驚かれはしたものの…喜ばれはしなかったのかもしれません。なんせ祖父は、口減らしの為に寺に出されたのですから。
我々が目にする戦争を題材にした映画もドラマも小説も、生き残った人は家族の元に帰ったら、仲間とともに復興を頑張ったり…喜びの再会が描かれているものが殆どです。
祖父は生きて帰っても、家族に喜ばれなかったんだろうなぁ。そんな話しは聞いた事がありません。
大平洋戦争を生き延びた祖父は、日本に平和が訪れてからも、晩年まで戦争の夢を見ていました。
「自分だけ生き延びてしまってごめんなさい」という自責の念にも苛まれていた様です。
自責の念と言えば…住職になった後も様々なトラブルに見舞われていましたから、悩みの尽きない人生でした。
祖母との夫婦仲も、父との親子仲も最悪でしたからね。苦労の多い人生でした。